本のレビュー:「「やる気」を育てる! ~科学的に正しい好奇心、モチベーションの高め方」
やる気を高める本は沢山ありますが、割と精神論に近い本が多いように感じていました。
そんな中、以前から書店で気になっていた、目新しそうなことが書いてありそうな、本書を買ってみました。
「やる気」を育てる! ~科学的に正しい好奇心、モチベーションの高め方
著者:植木 理恵
お薦め度:★★★★☆
著者の植木理恵さんは、心理学者で臨床心理士(カウンセラー)です。なので、基本的には科学的・心理学的な視点で書かれていていますが、200ページ以下にコンパクトにまとめられていて、専門用語も少ないので、肩ひじ張らずに読めます。
これ1冊読むのに2,3時間という所だと思いますが、これで、やる気が出る仕組みについての基本的な知識を得ることができます。表現もストレートで、分かりやすいです。
科学的・心理学的な裏付けがあった上で、カウンセラーとしての臨床経験を活かして、どうやってやる気を出すかのリアリティのある方法が書かれています。
会社の上司が部下にやる気を出させたい、親が子供にやる気を出させたい、といったシーンを想定していますが、もちろん自分自身のやる気を高めるための知識やノウハウが得られます。
売り物なので、レビューと言っても、あんまり内容を説明するわけにはいきませんけど、少しだけ書いてみると、、
人間が、やる気を出すには、アメとムチだけでは不十分であること。
自発的な「内発的モチベーション」が大事であること。
「内発的モチベーション」を高めるには、「自己効力感」が大事であること。
その「自己効力感」の高め方
コントロールイリュージョンについて
などが面白かったです。
理論だけでなく、具体的で日常生活に役に立つような方法まで、きちんと落とし込まれているのが良いです。
この本を読めば、その日からでも、やる気が出やすくなるように、行動を変えられると思います。
また、うつ病とやる気の関連にもきちんと触れられています。
既にうつ病などのメンタル系の病気の人でも安心して応用できる内容です。むしろ、メンタルも一緒に良くして行けるかも知れません。
やる気にしても何にしても、人間がパフォーマンスを発揮するには、きちんとしたメンタルの作り方があるわけで、そのためにやるべきこと、やってはいけないことが、分かりやすく、歯切れ良いタッチで、書かれています。
物足りない点としては、「感情」についてもう少し深堀りして、偏桃体の話など、一緒に書いてあれば、人間の脳の作りがどうなっていて、どこにウィークポイントがあって、、というイメージが湧いたんじゃないかと思います。(まあ、他の本に結構書いてあることですけど。)
それとこの本の内容を合わせれば、どうやってパフォーマンスの高い、やる気の出る脳を作れるのかが分かると思います。
結論としては、この分量で、これだけまとまった本は少ないと思います。「やる気」の上げ方に興味がある人は、是非一度読んでおいて損はない良書と思います。